まだ誰も知らない、山小屋についての話

早稲田大学天文同好会WAXA55期。現WAXA山小屋管理人。山小屋から考える「どう生きるか」を自分なりに発信できればいいなと思っています。

山小屋の管理人になっちゃいました!

「この瞬間、君が上司で私が部下になったからね。」

 

 新橋のワインバルで飲んでいた時はただの口約束かと思っていたが、後日送られてきたメールで漸く実感がわいた。

 

僕は山小屋が好きだ。だからこの人とサシで飲むことになった。だから他の天文サークルとの合同観測も山小屋でやったし、(実現はしなかったが)改装にも手を出した。どれもこれも好きだから出来たことだし何よりも

 

この日、山小屋の管理人となってしまった。

 

ブログでは何回か紹介はしているが、早稲田大学天文同好会WAXAは山小屋を所有している。今までは上のOBが行っていたが、その管理の仕事を自分が引き継ぐこととなった。

 

そのOBの方にお誘いを頂き、新橋で飲んでいたのだ。その時に引き継ぎの旨を伝えられた。

 

どんな仕事をするか?

 

今のところ引き継ぎは無いのでわからないが、敢えて自分の中では決めていない。ただ思い立ったら全てやる。維持に修繕に広報に…

 

トリッキーな事に手を出すわけではない。普段はぼんやりと考えて、形になったら行動する。

 

ちょうどその飲み会の一週間後に現役生に山小屋の話をする機会が訪れる。

 

緊張でなかなか言いたいことが纏まらなかったが、星空の写真を見せたらかなりの好評だったと思う。

 

電気、ガス、水道全てが通っていない。晴れれば満天の星空と出会えるが、今の時代にあまりにそぐわない小屋だ。

 

逆にインフラが揃って当たり前の時代だからこそ、そういった非日常の空間に憧れたりするものなのだろうか。

 

もちろん好みは人によって違うので万人受けする訳ではないが、それでもやはり

 

「良いものは必ず受け継がれる」

 

と勝手に考えている。ここで言う「良い」とは「都合が良い」という意味ではなく、要は人に与える影響が「良い」という意味である。

 

何が正解で、何が不正解であるというレールが取れ払われつつある今の時代だからこそ、淘汰されずに残るのはそういった「良い」ものであるはずである。

 

これはどこのサークルや企業でも同じだろう。

 

無論、受け継がれるにはそれ相応の努力は必要である。

 

具体的にいえば、実際に山小屋に連れていくだとか、SNSで発信するなどその手の地道なものである。

 

その努力の果てに、山小屋が少しでも良い経験と影響を与えてくれる存在になってくれるよう努めるのが管理人としての自分の役目である。

 

どれもこれも好きだから出来ることだ。

 

好きって凄いことなんだな。

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僕がよくする山小屋の話

路肩に咲くタンポポ。空を泳ぐ鯉のぼり。野辺山の風に吹かれながら、ただただ時間が経つ。この場所を知ったのは今からおよそ3年前。その頃から変わらない空。

 

このブログで書くのは、山小屋とそこから見えた星空について。

 

ー それでは、行きますか ー

 

5月に足を運んだのは2回。5/5-6と5/11-12。

 

夜の都会のドライブはすっかり慣れた。眩しすぎる明かりに包まれている。夜の7時頃。この時間を走るのは気持ちがいいな。

 

カーナビはもういらない。

 

あの場所に行くのも、この道を通るのももう20回を超える。方向音痴の自分だが、すっかりルートも覚えてしまった。サービスエリアで食べるものも固定してきた。中央道の夜景も見慣れたものだが、いつ見てもきれいだ。 

 

夜の高速道路からは、晴れていれば星も見える。それも満天の。最近は夜は雲で霞んでなかなか見えない。ただこれが寒い冬の時期だと、空が澄んできれいに見えるのだ。

 

ICを通過して高速を降りる。同じ場所ばかり来ると飽きそうだが、不思議とあまりそのような感覚がない。むしろ来れば来るほど愛着が湧いてきて、この場所にしか来なくなる。

 

これが「一流の田舎町」か…

 

店も夜8時には閉まる。コンビニも徒歩圏内にはない。地元の数十倍は不便そうだが、いつかはこんなところに住んでみたい。

 

八ヶ岳大橋を渡ると、ゴールが見えてくる。いや、見えてこないわ。ここからしばらく山道を登る。山道といってもかなり舗装された走りやすい道だ。清里を通過し、目的地付近で漸く長野県に入る。大きな坂を下り、踏切を二つ超えるといよいよ到着だ。

 

 ー 車を降りれば、そこは別世界 ー

 

車窓からうっすらと見えていた星空。たまらずドアを開ける。

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少し前にCMで見た、雲を抜けると星空が広がるみたいな、そんな豪華なものではない。ただ、それと同じくらい心が躍る。どうやら空は人の心を動かすらしいから。

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SNSで星景写真が上手な人を見ると尊敬する。自分もこれでも去年よりかは格段に上達したが、まだまだ足元にも及ばない。加えて毎度同じ観測場所なので、新しい構図を考えないと…今年はレンズを変えたりして、とにかく新しいことに挑戦したい。って毎年言ってるような気がするんだよな…(泣)

 

まあ、何も写真を撮ることだけが観望の楽しみではないというのもある。違う楽しみ方を発掘していきたい。知らないことの方が多いから、一つ一つ習得してこの世界を広げていきたい。

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カメラを操作する手がだんだん動かなくなる。この時期でもまだ夜中は寒い。山小屋の中にはいつ壊れるか分からないストーブが二つ。電気が無いのでエアコンなど勿論無い。

 

快適さの欠片もないが、ここは確かに自分の居場所ではある。

 

 

 

ー 山小屋の清掃、開始ー

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真っ暗な中で掃除をするのは大変なので、というか純粋に星が見たいので清掃を始めるのは朝になってから。掃除といっても電源が無いのでほうきとちりとりで。

 

特にこの時期は、虫が苦手な人は大変かも…

 

カメムシが異常に繁殖するので、駆除は欠かせない。最近は殺虫剤よりもスコップで潰す方が殺傷能力が高いと気づき、一匹ずつ「ごめんね…」と心の中で言いながら潰している。来世が心配だよホントに。

 

 ダンボールからはみ出たドブソニアン望遠鏡を片付け、毛布と座布団をロフトへしまう。ストーブには常に灯油を満タンにしておいて、トイレ用の水の補充も忘れない。

 

こういう管理が実はかなり大事。維持費は特にないが最低限の掃除などはしないと。本当は色々と問題を抱えて、向き合わないといけないことも沢山ある。ただ上の先輩はそれらを良い感じに隠してくれていた。今度は自分が向き合わないと。

 

望遠鏡に関しては近いうちに修理に出そう。いくらかかるんだろな…保存状態が冷静に考えて酷すぎる。。半ばオブジェと化してしまっている…

もしばっちり直って戻ってきたら観望会を開く予定だ。これは面白くなりそう、な予感

 

掃除もひと段落ついたし、支度が出来たらここを出ようか。

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ー 東京へ帰りましょう ー

 

昔は帰り際に温泉に寄ることが多かった。ただ、今では専ら直帰が多い。渋滞がかったるい以上の理由はない。野辺山はレタスなどの高原野菜の栽培が盛んだ。ただ観光するところはあまり無いので、帰り際に清里による程度だ。最近では雰囲気の良い酒蔵も見つけたので是非寄ってみたいところだ。

※飲酒運転は法律で禁止されています。

 

 学生の頃は、山小屋をサークルに浸透させることばかり考えて行動していたような気がする。

今は大学すら卒業してしまったが、SNSで細々と普及のための発信(?)を続けている。

 

側から見たらこれは自己満足かもしれない。自分の好みを人に押し付けているようにしか見えないだろう。ただ、特に目的などは無い。山小屋からうかがえるこんなにも素晴らしい世界を誰かに伝えたくて、居ても立っても居られないだけだ。

もはや本能で動いている。

 

代々木のドコモのビルが見えたら現実は数秒前。もうすぐ月曜日が訪れる。その前に家の湯船にどっぷり浸かって癒されよう。

 

 

 

 

僕が星空を探す理由(前編)

 SNSでも私生活でもやたらとアピールをしているものだから、天体観測の魅力は何かと聞かれることがしばしばある。口下手な僕はただ単にロマンチック、だとかカッコいいみたいな漠然とした回答で済ませることが多く、あまり長々と人に話したことはなかった。

 そのため今回のブログでは、そんな天体観測の魅力について少しだけ考えたいと思う。単に空を見上げることが何故そんなにも魅力的なのか、何故それを求め続けるのか、自分なりに纏めていきたい。そしてこんな世界もあるということを少しでも伝えられたらと思う。

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「天体観測」とは…

 

 一般的に天体観測というと、イカつい望遠鏡かなんかで星々を見つめるようなイメージだろうか。実際はもう少し意味は広く、一口に星を見るといっても色々な楽しみ方がある。冬だったら寒い中あたたかいコーヒーを飲みながら夜空を見上げるでもいいし、一眼レフで写真を撮る人もいる。先ほど出てきたように望遠鏡越しに天体を見つめる人だっている。

    加えて天文分野といっても多岐に渡っており、神話、星座、流星…などなど広範囲に広がっている。自分はどちらかといえば星座の名前や位置を覚えるのが好きなのだが、とにかく様々な視点から自分なりに深めることができるのだ

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    人によって「天体観測」の定義は異なってくるのはいいとして、好事家の中には「観測」と「観望」を使い分けたがる人もいる。辞書通りの色合いとしては、「観測」は何かある現象に対して計測をして記録をつけることで、「観望」とはとにかく空を見渡すこと、といった感じだろうか。一般的にはそういった区別が存在するが、あくまで自分の中ではどちらも同じものとしてみている。

 というのも、その区別自体を批判するつもりは微塵もないが、どことなく優劣をつけているような気がして違和感があるのだ。

  「観測」も「観望」もルーツは空に浮かぶ星を肉眼で見つめることで、大事なのは空に対して目を向けることである。肉眼だとどうしても星によってはかすんだりぼやけたりする、あるいはもっと細かな星の様相が知りたくて望遠鏡とやらが開発された。自分が見たその星空を残したくて、誰かに伝えたくてカメラを使う者も出てきた。時代が進むにつれて星を見る道具が増え、その結果楽しみ方も増えてきたし、研究する内容もより多彩になっていった。それらに共通するのは、遠い星に対して興味をもつこと。それだけである。ゆえに「生きている星に対して目を向ける」、これを自分の中での天体観測の定義としている。それと同時にプラネタリウムとの違いの一つである。

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 満天の星空なら都内でも見ることができる!?

 

 まさにその通り。池袋や渋谷でも、お金を払えば満天の星空を見ることは可能だ。ただ人工の星空だけど。プラネタリウムという施設がありましてね。1000円ちょい払ってチケットを買えば外は雨が降ろうが槍が降ろうが雲一つない綺麗な星空が見える。癒しのBGMやアロマの香りとともに見つめる星はまさに各別。プラネタリウムを通じて星空が好きになる人は多い。ただそれは「天体観測」とは言わない。プラネタリウムに行くことと「天体観測」の間には大きな壁がある。いや、自分が勝手に壁を作っているだけなのだが、そこに明らかな違いを見出している。その違いに関しては次回のブログに書くことにしよう。

三日月が沈むとそこには…

1. はじめに

 

   5月になり、気温の上がる日も増えてきた。皐月晴れは爽快だが、日本の夏は暑い。早苗を植えるから皐月。あっちも確かこの時期からレタスを育て始めるんだよな。今回紹介するのは、5月の晴れ空に輝く星空。それと就活とゼミの狭間に出かけた観測の記録。

 

   2. 観測場所

 

   今回の観測場所は長野県の野辺山。ここに来たのはこれで通算8回目になる。宜しければ「オリオンが輝く厳冬の野辺山」もご覧ください。

   東京からは二本の高速道路を乗り継ぐ。首都高速中央自動車道。休憩合わせてだいたい3時間かな。ライトをつけ忘れそうになるほど明るい都内から(”ガチで違反”なのでちゃんとつけましょう)渋滞気味の首都高に入る。途中の談合坂SAではしっかり休憩。その後、雰囲気は一変。車の気配がほとんどない中央道。この道で山梨県を一気に北上する。先に見える星々は空ではなく、地上に広がる。甲府盆地を横断するタイミングで綺麗な夜景が見えるのだ。40万くらいかな?都内のようにチカチカする明かりは無い。

   長い長い高速を降りると宇宙はもうすぐそこ。途中の八ヶ岳大橋を渡るとひたすら山登り。人よりもシカに出くわす頻度の方が高い道。こんなところでどうやって暮らすんだろうな…ってか、もともとそういう動物やん(小並感)。そんな感じで40分(?)ほど車を走らせると今回の観測場所に到着。最寄りのコンビニは運輸トラックの聖地。そこで必要な水や食料を買い、夜を明かす。5月末でも手がかじかむほどの寒さ。星空を眺めながらカップ麺をすする。うん、まさに青春。

 

3. 実際に見えた星空

 

   結論から言ってしまえば、今回も満天の星空を見ることができた!実に3ヶ月ぶりの星空。空が澄んでいるからこそ、より一層星は輝く。星座も映える。なんて心地の良い寒さなんだろう。天候があまり安定しないこの時期。これだけ見えるのは単に運が良かったのか、この地がすごいのか…

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 撮影したのは確か深夜1時か2時か。見事に天の川の写真も撮ることができた!天文サークルに入っていたものの肉眼で天の川を見ることができたのは2,3回しかない。いずれもこの地なんだけどね(笑) 真夏だと深夜には沈んでしまっているので、案外この時期のほうがいいのかもしれない。どうしても七夕ってイメージがあるけど…笑

 前回の千葉県の野島崎灯台の観測から3か月が経つ。新しい広角レンズやシャッターのリモコンを用意してきた。星空にも恵まれ、何もかもが順調だった。ただ一つ課題としては星が若干ぶれてしまったところ…

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 光量の小さい星を撮る際、普通に景色を撮る方法では間違いなく星は写らない。明るさがあまりに足りないのだ。そこで少しでも光を取り込むには…

 ①露光時間を長くする 

 ②ISO,つまり感度の値を高くする 

の二つの方法がある。具体的な数値は①も②も場所と状況によるとしか言えないのだが、どちらを上げてもしっかりと星は写る。ただ②だと程度によってはノイズが目立ってしまうのが難点。なんかザーザーする感じになる(語彙力)。そこで②は出来るだけ抑えて、①の露光時間を長くする。これならノイズはおさまるのだが、今度は星がブレてしまう。無論、星は動いているからだ。(いや、正確にいうと地球が動いているからなのだがそこは置いといて)全ての恒星は北極星を中心に回っているように見えるので、そのまま撮影すると星が少し尾を引いた形になる。北極星から遠ければ遠いほどブレが大きい。

 今回の露光時間は70秒を目安に撮影していた。星のブレが課題となったのはそれが原因。そのブレを軽減するためにポラリエのような赤道儀とかいう機材がある。星を自動で追尾してくれるのだ。それは次回の観測までに用意出来たらしておこうか。

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   レンタカーと一緒にパシャリ。車が黒いので背景と同化しているが、天の川とのコラボもいい感じ♪ 星座をピンポイントで写すよりかは、こういう風景メインの写真の方が好きだなあ。個人的には。

   あ、ところで、上の電柱との写真(2枚目)だけど、かなり良い位置に”かんむり座“が写りこんでるね。“かんむり座”がどんな形かは「灯台が紡ぐ春の兆し〜野島崎灯台〜」を参照してください。

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   かなり薄いけど、北極星付近。北斗七星もカシオペヤも一つのフレームに写せました。ちょうどカシオペヤが天の川にかかるポジションにいるんだね。今回はソフトフィルター無し。使ってる後輩もいたけど、写真が本当に素晴らしかった!

   まあ、星の写真はこんな感じにして。結局寝たのは夜3時半くらい? 寝酒なしの健康的な観測。ドライバーだからね、一応。星空が見えれば言うことなしだが、夜明けの綺麗な青空も天体観望の醍醐味。

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   プラネタリウムとは違う、この不確実性が天体観測の良いところでもあるんですよ。お金がかからない分、行動力と小さじ一杯分の運が必要だけど、得られる感動は本物。

 

4. 終わりに

   

   言い忘れていたが、今回の観測は流星にも恵まれました!流星群が到来していたのだろうか? 全く聞いていなかった…去年の12月は”ふたご座流星群“が来ている時で流れ星目当てで行ったが、それほど見ることはできず。こちらから求めると逆に出会えないものなのかね…()

   帰りは温泉などには寄らずに直で帰宅。珍しく渋滞にはあまり呑まれず、都市部を走っている時も快適だった。車を降りてみると東京も暑い。空も晴れている。昨日見た月や星空がなんだか夢のよう。首都高で見た、金色の鎌のように輝いていた三日月が色濃く残っている。最後までいい味を出してくれてたなあ。沈んだ後も…

   さて、次はどこへ行こうか。

 

※感想や何か間違ってる部分があればコメントで気軽に教えてください🙇‍♀️🙇‍♀️ お読みいただきありがとうございました。

   

 

 

 

 

   

 

 

灯台が紡ぐ春の兆し〜野島崎灯台〜

1. はじめに

 

    観測が終わってから妙に目がかゆいと思ったら、関東はもう花粉が飛んでいるのか。1月のようなバカみたいな寒さは無くなり、だんだんと春に近づいているのだろう。それは日中の暖かさだけではなく、夜空に浮かぶ星を見てもすぐにわかる。深夜2時にもなれば春の星座が顔を出し、夜明け前には夏の星座も見ることができる。旅はまだ始まったばかり。今回は、千葉の最果ての岬に広がっていた世界を少しでも見せられればと思う。

 

2. 観測場所

 

    今回の観測場所は、千葉県の野島崎灯台。日本初の洋式灯台らしく、周辺は千葉県の国定公園となっている。何しろ行った時間が深夜を回っていたので辺りは暗くてよく見えなかったが、公園内にはトビウオの像(写真はないです…)を始めとしてなんだかよく分からない像がいっぱい。石盤もあれば首のない像もあり、真夜中だけに少々不気味な雰囲気。あとでネットで日中の写真を見てみると“整備された公園”という感じで、周りは見渡す限りの海が広がり晴れれば伊豆大島まで見ることができる。砂浜ではなく、ゴツゴツとした岩が散乱する海岸。近くには美術館や豊富な海鮮を扱ったお店もあり、灯台も見学が出来るので旅行で来るぶんには結構楽しめそうだ。ただ、今回はレンタカーを返す時間が早朝だったので朝の6時には現地を出てしまった。地元グルメや周辺施設を堪能するのは後の機会ということで😎

    加えて、この灯台のすぐ隣には神社がある。名前は「厳島神社」。由来は分からないけど全国にこの名前の神社がいくつかあるらしい。近くの駐車場に車を泊めて、せっかくなので参拝もしてみたが辺りに街灯はほとんどない。風が吹くたびに木の枝や葉は音を立てて揺れ、時間が時間だけに少し足がすくんでしまう怖さ。若気の至りなどとうの昔に置いてきた。鳥居と星空のコラボはなかなか良いのだが、深夜に1人で来るような場所ではないな。テニスサークルが肝試しで使いそうな場所。

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3. 観測場所までの道のり

 

    この野島崎灯台があるのは千葉県の最南端。正直遠い。あまりに遠い。都心から行くと千葉県の内房に沿って行く形になるのだが、途中で通る館山自動車道は気の遠くなるような長さで都内の出発地点からおよそ3時間ほどかかってしまった。以前に行った長野県の野辺山とあまり変わらない。チーバくんの胴体は思いのほか長かったようだ() 同行してくれた千葉県民の後輩も地元といえど流石にこんな所まで来たことは無いらしく、近くて遠い野島崎ってか。いや、全然近くないわ。

   ここまで来るのに 高速道路を何本も乗り継ぐことになる。都内の出発地から野島崎灯台までの経路を簡単に書いておこうと思う。

 

東京駅近く(?)の呉服橋料金所

首都高速6号向島

首都高速9号深川線

首都高速湾岸線

関東自動車

湾岸習志野(ここで一旦降りて千葉住みの後輩をピックアップ)

穴川料金所

京葉道路

館山自動車道

富津館山道路

富浦料金所

野島崎灯台

 

見やすさを追求したらこんなに縦に長くなってしまった…つい先日とは言えうる覚えだが、こんな感じのルートで車を走らせていた。おかげさまで高速代は高く付いてしまったが、車の運転の良い練習になった😅 途中道を間違えるハプニングもあったものの、終始安全運転(?)で走行できた。なんでカーナビがあるのに道を間違えるんだろう…まあ教習所ではカーナビの使い方は教わってないので()

    金曜の夜は都心の一般道と言えどそこまで交通量は多くないので、五差路とかいうエグい交差点を除けば案外運転しやすい。程よくヘッドライトが行き交う夜の東京。目立たぬところに置かれたランプから首都高に入る。都心環状線からはオレンジ色に輝く東京タワーが見え、湾岸線に乗り換えればレインボーブリッジやディズニーランドもうかがえる。夜景が綺麗な夜の首都高はやはり何か特別なものがある。少し開けた窓から吹き込む夜風に打たれながら千葉を目指していた。千葉県に入ってからは「長い」という感想しかない。以上。

 

4. 実際に見えた星空

 

    今回の観測も結果的には満天の星空を見ることができました😊😊 またまた人と自然に感謝!到着したのは深夜1時ごろで北斗七星など、目立つ星がちらちら見える程度であった。その後、雲で隠れたりまた星が出てきたりを繰り返し、3時ごろにようやく空が晴れて綺麗な星空を見ることができた🌟 晴れの日も雨の日もこんな夢が見られたらきっと最高なんだろう…ここで実際に見えた星空の写真を載せていきたいと思う。   

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    野島崎灯台といえば、この岩の上に佇む1つのベンチがなかなか有名である。満天の星と1つのベンチと、かなり趣のある写真が撮れた。うん、今回の1番の写真。ここのスポットは写真家の中でもかなり有名らしく、自分らの他に何人ものカメラマンが真剣な眼差しで写真を撮っていた。インスタグラムとかでこのベンチを写した星空の写真はかなりの頻度で流れて来るのだが、こういう人たちが撮っているのだろう。“インスタ映えの裏側”を見た感じだ😅 

    冬とは言え相対的に湿度が高くなる海岸でこれだけの星空を見られるのは自分でも驚いた。今年の運を使い切ってしまっていないか心配だ() また、写真の左下にはうっすらと天の川が写っている。冬の大三角を貫く天の川とは違ってより鮮明なものになっている。これが2月で見られるってすごいな…(語彙力)

    真ん中で輝く明るい星が火星、それを追う3つの星を頭にした星座がさそり座。火星の左下にあるオレンジ色の星がさそり座の一等星アンタレス。はじめ後輩に真ん中で輝く星が何かと聞かれた時に、ど忘れしていた僕は「えーっと、木星か…いや、土星かな??」みたいに言ってしまったような気がする笑笑 星座を構成しない惑星はたまに識別を間違えてしまうのだが、 “アンタレス”は“火星に対抗するもの”という意味である。答えは名前に刻まれている。

    それと、その火星を覆うように歪んだ台形の形の星座があるのが分かるだろうか? これが天秤座である。あまり目立たないのだが、この天秤座も立派な黄道十二星座の1つ。天秤座、さそり座、射手座…というようにもう少し待てば射手座が登ってくるはずだが、あと1ヶ月は待たねばならないだろう…

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    そしてこれが例の灯台と星空。先ほどの神社への道を歩ききった所にある。無論、灯台は明かりを照らしているためカメラの明るさ調整がかなり難しかった。僕もまだまだ初心者🔰

    

    さて、今回は春の星座を中心にお話をしたいと思う。

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     神社の中から撮った北斗七星。木の葉が風に吹かれているのか若干木の部分がぶれてしまったが、しっかりと柄杓型の星の集まりを捉えられた。ちなみにこちらはソフトレンズは無し。シャッタースピード30秒、ISO6400、F値6.3(?)。今回はしっかり覚えていた() 以前に野辺山に行った時のブログで、北斗七星からかなりの星座を見つけられると書いたが、いい感じの写真が撮れたので北斗七星周辺の星座をいくつか紹介しようと思う。

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     こちらが春の大三角。柄杓型の北斗七星の先端を伸ばすと北極星があるが、そちらとは逆の柄杓の4つの星のカーブの部分を伸ばした先に春の大三角がある。写真上側のオレンジ色(?)の星がうしかい座アルクトゥルス。左下の青白い星がおとめ座のスピカ。右下(少しわかりづらいが)の目立つ星がしし座のデネボラ。これら3つの一等星をつないで出来るものが春の大三角である。夏と冬の大三角は小学校で習ったが、春の大三角は大学生になって初めて知った。知名度とは裏腹に夜空に浮かぶ際立って大きな三角形だ。ちなみに先ほどの北斗七星の柄杓の4つ星のカーブ、アルクトゥルスとスピカを繋いだ曲線を春の大曲線という。何しろ広角レンズが無いので全体を1つの写真に写しきれないのが残念…😂😂  次の遠征までにはちゃんと購入しておこう。たぶん…

    そしてその春の大曲線の延長にあるのが、“からす座”である。

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    写真の中で赤く囲った部分。歪んだ四角形に1つ点が加わった星座である。自分が大学1年で天文サークルに入りたての頃に観測企画で、先輩が「からす座が見えるね〜」と言っていたが当時は何のこっちゃ分からなかった。当初はソフトテニス部出身でオリオン座くらいしか分からなかったが、今ではその先輩と対等に星座の話ができる気がする。そんなある意味思い入れのある星座である。目立つ星座ではないのでちゃんと観測できて満足😊😊

    (ブログが長くなり過ぎるのでそろそろこの辺にしておくが)もう1つだけ星座を紹介しておこうと思う。先ほどの春の大曲線の膨らんだ方(文章で説明するのが難しい😂😂)に少し特徴的な星座がある。f:id:shui_watanabe:20180220235245j:image

 写真のど真ん中にある、6つの星が円の弧を描くように並んでいるのが“かんむり座”である。何を血迷ったか今回の観測は写真を撮るときに風景よりも星座を意識しすぎてしまった。どちらかといえばノスタルジックな風景がの方が好きなのだが、例のベンチの写真しかない…😂😂  このかんむり座の左にはヘルクレス座、左下にはへび座へびつかい座、写真には写っていないが少し離れたところには夏の大三角がある。かんむり座自体は春と夏の中間あたりかな? 実際今は冬だけど笑笑

    ちなみにかんむり座とよく似た形で“みなみのかんむり座”という星座がある。位置は射手座の近く。“うお座”があれば“みなみのうお座”もある。“さんかく座”もあれば“みなみのさんかく座”もある。

    写真を漁って見た感じだとはっきり星座を写し撮れているのはこれで以上。その他は全て夏の星座なので紹介するのはまた次回ということで。

 

5. 夜が明けて

 

    まるで夢が覚めるかのように、空で輝く星々がだんだんと薄くなり空が明るくなってきた。千葉の最南端なので東京と比べれば日の出は早い。得体の知れない石像がはっきりと見えるようになったけど相変わらず意味が分からん。空腹に耐えながら、かつこれから広がるであろう青空を見ることなく車をまた走らせた。今度はゆっくりできるといいな。ただ関東にこんな世界があったなんてびっくりした。まだまだ知らない景色が沢山あるみたい。自分は今まで色んな世界を見てきた。ピアノ、ソフトテニス、武道、そしてダイビング…それぞれの世界にはその道を極めた人にしか見ることが出来ない景色が広がっている。天体観測を極めた先にはどんな風景が広がっているのだろう。それを追い求めてまた旅をする。バックミラーに映る寝顔を見ながらそんなことを考えていた。

 

6. 終わりに

    気づけば4,000字を超えるブログになってしまった…最後まで読んでくれる人いるのかコレ笑 相変わらず最近は忙しいけど、息抜きがてら観測に出かけようとは思う。ブログもちょくちょく更新していくのでよろしければ読んでみてください🙇‍♀️ またまたありがとうございました😊

    

    

 

 

    

オリオンが輝く厳冬の野辺山

1. はじめに

    年が明けて都内も寒さが一層厳しくなり、朝がつらい日が続いている。それとは反対に空や海は夏よりも格段に澄み渡り、少しくらい郊外に行けば冬のダイヤモンドが輝いて見える。そんな中、もといた天文サークルのメンバーを引き連れて長野まで星空を見に行ったのはもうすでに一か月以上も前のことになる。野辺山の晴れ渡った空に広がる星々に心惹かれたあの遠征について、今回は書きたいと思う。

 

2. 観測場所

 今回の観測場所は長野県の野辺山。車だと都心から首都高速中央自動車道を乗り継いでおよそ2時間半ほどで行くことができる。休憩を合わせてだいたい3時間といったところだろうか。慣れない右からの車線変更、不意打ちで現れる白バイ、半ばサーキットと化した中央道、高速を降りた後の急カーブの多い山道…一泊二日の割に合わない疲れはここから来るのだろうか…(まあ運転自体はかなり好きなので全然いいのだが)

 この観測場所だが、実は電車でも行くことができ、JR小海線の駅から50分ほど歩くと辿り着くことができる。徒歩50分が近いのか遠いのかは別として、ここまでアクセスが良いのもなかなか珍しい。というのも(個人的な偏見だが)、日本で星が綺麗な場所というのは電車などの公共機関では行きづらいことが多く、特に海辺だと到着したところで崖などで足場がかなり悪かったり、たまに心霊スポットだったりと心安らかに星空を見られる場所は意外と少ないのかもしれない。自分もかつて天文サークルで幹部をしていた時に観測会を開くことが何回かあったのだが、やはり苦労したのは場所選びだった気がする。「ちょっと暗い所に行けばどこでも星が見える」ってのはそうっちゃそうなんだけど…

    ちなみにこの野辺山には野辺山宇宙電波観測所があるのでここら辺は観測的にはかなり良いのだろう。南側は甲斐山地、北側は八ヶ岳に囲まれているいわば盆地地形なので、放射冷却が起こる夜は晴れることが多いのも事実。(間違ってたらごめんなさい🙇‍♀️)

    加えて、この遠征に行ったのは12月の話だが、この時の気温は確か氷点下4℃くらい(?) 記憶が正しければ思ったよりは寒くなかったような。流石に夜中3時くらいになると手がかじかむくらいには冷えてきたけど、それでも耐えられないってほどでは無かったと思う。運良くあった近くのコンビニに入って寒さを凌いだりして上手く過ごしていた。野辺山自体は宿泊施設はそこまで充実していないので、泊まるのであれば近くの清里になるのだろうか。あそこは温泉も多いしリゾート地なので。冬の車内泊一酸化炭素中毒の危険もあるらしいし…(震え声)

 

3. 実際に見えた星空

    今回行った観測場所はもうすでに6回目だったのだが、今までで1番と言っていいほど星がよく見えた。恐らくメンバーの日頃の行いが良かったのでしょう😊😊 人と自然に感謝!何枚か写真も撮ったのでここに載せたいと思う。

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左下が雲で覆われてしまったのは残念だが、観測条件は素晴らしく冬の大三角の間を通る見事な天の川も捉えることができた。F値とかISOとかちゃんと覚えておけばよかったな…星空の写真を撮るときは角度とか焦点とかその他諸々全て“だいたい”でやっているので、これからはもう少し考えてやろうと思う😂😂 ちなみにソフトフィルターも使っています。プロトンA(?)ってやつだったような。

    そしてこの天の川をもっと近くで写したのがこちら

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端的に言って「極上」。もっと頑張れば教科書かなんかに載せられるんじゃないか…() とにかくここまではっきり天の川が写ったのは初めてかもしれないし、肉眼でもしっかりと天の川は認識できていた。どうしても夏というイメージがあるので冬に天の川が見えるとなんか不思議な気分。実際、天の川というのは地球を取り巻く銀河を内側から見ていることによって帯状に見えるものを指しているので、空模様さえ良ければ年中観測ができるというのは割と当たり前なのだが、それでもなんだか不思議なものである。

    先ほどの二枚の写真は冬の大三角がメインだったので、今度は違う角度から

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    確か深夜3時ごろだろうか?角度的に冬の大三角はだいぶ沈んでいるので、恐らくそのくらいの時間だと思う。電柱と星空のコラボがこんなに好きなのは自分だけだろうか…? 豚カツとキャベツ並みに切っても切り離せないコラボである(謎)

    この写真の右端の方に写っているW型の星の集まりがカシオペヤ座。一方、左上の方に小さな星がいくつも集まっているものが見えるだろうか?これがいわゆる牡牛座の肩の部分にあたるプレアデス星団。そして左上の端のギリギリに写っている黄色っぽい星がぎょしゃ座のカペラ。近くにあるペルセウス座も紹介したいところだったが、流石に角度が悪すぎた…😂 位置的には、先述のぎょしゃ座のカペラとプレアデス星団を結んだ直線のちょうど上に当たるところにある。(写真だと切れてしまっていて足のところしか写っていない…😂😂)  カシオペア座を使った探し方もあって、“W”の文字の左から2本目の線(つまり“ / “ のこと。文章では説明しづらい笑笑)を伸ばした先にちょうどペルセウス座のγ星があるのでその辺りがペルセウス座である。γ星というのは、その星座で3番目に明るい星という意味である。1つの星座の中に明るい星から順にα星、β星、γ星…とギリシャ文字を振っていくのだが、数学みたいにかっちりした規則ではなく、星座によってはα星が存在しなかったりと割とアバウトである。というか特殊な機械がない限りアバウトにしか決められないのだろう。

 

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    たまには星座を意識して撮ってみようと思って、他のメンバーが酒を飲み始めたときにふいに撮ったものがこちら。真ん中に目立つ柄杓型の星々が北斗七星。その先端を伸ばした先にある目立つ明るい星が北極星である。(写真の左下の隅)

    先ほどのカシオペア座とこの北斗七星を使って全天のかなりの星座を見つけることができるが、何しろ写真がないのでのちに機会に。それにしても本当に綺麗だったな〜😊😊

 

4. 夜が明けて

    歳のせいでオールが出来なくなってしまったと言うのもあろうか、気づいたら寝落ちしていた。朝が明けた時の美しい日の出も天体観測の醍醐味ではあるが起きたのは朝8時。なんなら驚くことに外は雪が舞っている。2017年の最初で最後の雪がちょうどこの時だった。こんだけ体冷やしたんだから温泉にどっぷりつかりたいですよね〜ww的なノリで清里の温泉施設へ。もうね、体がとろとろっと溶けるかと思いましたよ、ホントに。文字通りの温もり、やめられません。

    そういえばこの施設に行くときに、空が晴れだしたので写真を撮っておきました。

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    まだこの時は雪が降っていたが、雲の隙間から晴れ間が顔を覗かせていた。天気雨ならぬ「天気雪」といったところ。星空が好きで星空の魅力を伝えたいがためにこのブログを始めたが、星空というより「空」が好きなんだろう。僕は。特にこういう田舎の空は都会と違って澄んでいるのでより一層好き。

 

5. 終わりに

    ブログを始めたばかりでいきなり言うのも難だが、最近は大学の試験といい就活の準備といいかなり忙しいのであまり星空を見ることが出来ていないのが現状。今回行った野辺山はもちろん、今のところ行きたいと思っているのは馬の背洞門、戦場ヶ原、美ヶ原などなど。(いつ行けるかどうか分からないけど笑) 文章を書くのが下手な僕だったが気づけば3000字を超えていてびっくり。こんな感じで適当な頻度でゆる〜く更新していこうと思う。長い長いブログでしたが、ここまで読んでくれてどうもありがとうございました😊😊