まだ誰も知らない、山小屋についての話

早稲田大学天文同好会WAXA55期。現WAXA山小屋管理人。山小屋から考える「どう生きるか」を自分なりに発信できればいいなと思っています。

灯台が紡ぐ春の兆し〜野島崎灯台〜

1. はじめに

 

    観測が終わってから妙に目がかゆいと思ったら、関東はもう花粉が飛んでいるのか。1月のようなバカみたいな寒さは無くなり、だんだんと春に近づいているのだろう。それは日中の暖かさだけではなく、夜空に浮かぶ星を見てもすぐにわかる。深夜2時にもなれば春の星座が顔を出し、夜明け前には夏の星座も見ることができる。旅はまだ始まったばかり。今回は、千葉の最果ての岬に広がっていた世界を少しでも見せられればと思う。

 

2. 観測場所

 

    今回の観測場所は、千葉県の野島崎灯台。日本初の洋式灯台らしく、周辺は千葉県の国定公園となっている。何しろ行った時間が深夜を回っていたので辺りは暗くてよく見えなかったが、公園内にはトビウオの像(写真はないです…)を始めとしてなんだかよく分からない像がいっぱい。石盤もあれば首のない像もあり、真夜中だけに少々不気味な雰囲気。あとでネットで日中の写真を見てみると“整備された公園”という感じで、周りは見渡す限りの海が広がり晴れれば伊豆大島まで見ることができる。砂浜ではなく、ゴツゴツとした岩が散乱する海岸。近くには美術館や豊富な海鮮を扱ったお店もあり、灯台も見学が出来るので旅行で来るぶんには結構楽しめそうだ。ただ、今回はレンタカーを返す時間が早朝だったので朝の6時には現地を出てしまった。地元グルメや周辺施設を堪能するのは後の機会ということで😎

    加えて、この灯台のすぐ隣には神社がある。名前は「厳島神社」。由来は分からないけど全国にこの名前の神社がいくつかあるらしい。近くの駐車場に車を泊めて、せっかくなので参拝もしてみたが辺りに街灯はほとんどない。風が吹くたびに木の枝や葉は音を立てて揺れ、時間が時間だけに少し足がすくんでしまう怖さ。若気の至りなどとうの昔に置いてきた。鳥居と星空のコラボはなかなか良いのだが、深夜に1人で来るような場所ではないな。テニスサークルが肝試しで使いそうな場所。

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3. 観測場所までの道のり

 

    この野島崎灯台があるのは千葉県の最南端。正直遠い。あまりに遠い。都心から行くと千葉県の内房に沿って行く形になるのだが、途中で通る館山自動車道は気の遠くなるような長さで都内の出発地点からおよそ3時間ほどかかってしまった。以前に行った長野県の野辺山とあまり変わらない。チーバくんの胴体は思いのほか長かったようだ() 同行してくれた千葉県民の後輩も地元といえど流石にこんな所まで来たことは無いらしく、近くて遠い野島崎ってか。いや、全然近くないわ。

   ここまで来るのに 高速道路を何本も乗り継ぐことになる。都内の出発地から野島崎灯台までの経路を簡単に書いておこうと思う。

 

東京駅近く(?)の呉服橋料金所

首都高速6号向島

首都高速9号深川線

首都高速湾岸線

関東自動車

湾岸習志野(ここで一旦降りて千葉住みの後輩をピックアップ)

穴川料金所

京葉道路

館山自動車道

富津館山道路

富浦料金所

野島崎灯台

 

見やすさを追求したらこんなに縦に長くなってしまった…つい先日とは言えうる覚えだが、こんな感じのルートで車を走らせていた。おかげさまで高速代は高く付いてしまったが、車の運転の良い練習になった😅 途中道を間違えるハプニングもあったものの、終始安全運転(?)で走行できた。なんでカーナビがあるのに道を間違えるんだろう…まあ教習所ではカーナビの使い方は教わってないので()

    金曜の夜は都心の一般道と言えどそこまで交通量は多くないので、五差路とかいうエグい交差点を除けば案外運転しやすい。程よくヘッドライトが行き交う夜の東京。目立たぬところに置かれたランプから首都高に入る。都心環状線からはオレンジ色に輝く東京タワーが見え、湾岸線に乗り換えればレインボーブリッジやディズニーランドもうかがえる。夜景が綺麗な夜の首都高はやはり何か特別なものがある。少し開けた窓から吹き込む夜風に打たれながら千葉を目指していた。千葉県に入ってからは「長い」という感想しかない。以上。

 

4. 実際に見えた星空

 

    今回の観測も結果的には満天の星空を見ることができました😊😊 またまた人と自然に感謝!到着したのは深夜1時ごろで北斗七星など、目立つ星がちらちら見える程度であった。その後、雲で隠れたりまた星が出てきたりを繰り返し、3時ごろにようやく空が晴れて綺麗な星空を見ることができた🌟 晴れの日も雨の日もこんな夢が見られたらきっと最高なんだろう…ここで実際に見えた星空の写真を載せていきたいと思う。   

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    野島崎灯台といえば、この岩の上に佇む1つのベンチがなかなか有名である。満天の星と1つのベンチと、かなり趣のある写真が撮れた。うん、今回の1番の写真。ここのスポットは写真家の中でもかなり有名らしく、自分らの他に何人ものカメラマンが真剣な眼差しで写真を撮っていた。インスタグラムとかでこのベンチを写した星空の写真はかなりの頻度で流れて来るのだが、こういう人たちが撮っているのだろう。“インスタ映えの裏側”を見た感じだ😅 

    冬とは言え相対的に湿度が高くなる海岸でこれだけの星空を見られるのは自分でも驚いた。今年の運を使い切ってしまっていないか心配だ() また、写真の左下にはうっすらと天の川が写っている。冬の大三角を貫く天の川とは違ってより鮮明なものになっている。これが2月で見られるってすごいな…(語彙力)

    真ん中で輝く明るい星が火星、それを追う3つの星を頭にした星座がさそり座。火星の左下にあるオレンジ色の星がさそり座の一等星アンタレス。はじめ後輩に真ん中で輝く星が何かと聞かれた時に、ど忘れしていた僕は「えーっと、木星か…いや、土星かな??」みたいに言ってしまったような気がする笑笑 星座を構成しない惑星はたまに識別を間違えてしまうのだが、 “アンタレス”は“火星に対抗するもの”という意味である。答えは名前に刻まれている。

    それと、その火星を覆うように歪んだ台形の形の星座があるのが分かるだろうか? これが天秤座である。あまり目立たないのだが、この天秤座も立派な黄道十二星座の1つ。天秤座、さそり座、射手座…というようにもう少し待てば射手座が登ってくるはずだが、あと1ヶ月は待たねばならないだろう…

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    そしてこれが例の灯台と星空。先ほどの神社への道を歩ききった所にある。無論、灯台は明かりを照らしているためカメラの明るさ調整がかなり難しかった。僕もまだまだ初心者🔰

    

    さて、今回は春の星座を中心にお話をしたいと思う。

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     神社の中から撮った北斗七星。木の葉が風に吹かれているのか若干木の部分がぶれてしまったが、しっかりと柄杓型の星の集まりを捉えられた。ちなみにこちらはソフトレンズは無し。シャッタースピード30秒、ISO6400、F値6.3(?)。今回はしっかり覚えていた() 以前に野辺山に行った時のブログで、北斗七星からかなりの星座を見つけられると書いたが、いい感じの写真が撮れたので北斗七星周辺の星座をいくつか紹介しようと思う。

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     こちらが春の大三角。柄杓型の北斗七星の先端を伸ばすと北極星があるが、そちらとは逆の柄杓の4つの星のカーブの部分を伸ばした先に春の大三角がある。写真上側のオレンジ色(?)の星がうしかい座アルクトゥルス。左下の青白い星がおとめ座のスピカ。右下(少しわかりづらいが)の目立つ星がしし座のデネボラ。これら3つの一等星をつないで出来るものが春の大三角である。夏と冬の大三角は小学校で習ったが、春の大三角は大学生になって初めて知った。知名度とは裏腹に夜空に浮かぶ際立って大きな三角形だ。ちなみに先ほどの北斗七星の柄杓の4つ星のカーブ、アルクトゥルスとスピカを繋いだ曲線を春の大曲線という。何しろ広角レンズが無いので全体を1つの写真に写しきれないのが残念…😂😂  次の遠征までにはちゃんと購入しておこう。たぶん…

    そしてその春の大曲線の延長にあるのが、“からす座”である。

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    写真の中で赤く囲った部分。歪んだ四角形に1つ点が加わった星座である。自分が大学1年で天文サークルに入りたての頃に観測企画で、先輩が「からす座が見えるね〜」と言っていたが当時は何のこっちゃ分からなかった。当初はソフトテニス部出身でオリオン座くらいしか分からなかったが、今ではその先輩と対等に星座の話ができる気がする。そんなある意味思い入れのある星座である。目立つ星座ではないのでちゃんと観測できて満足😊😊

    (ブログが長くなり過ぎるのでそろそろこの辺にしておくが)もう1つだけ星座を紹介しておこうと思う。先ほどの春の大曲線の膨らんだ方(文章で説明するのが難しい😂😂)に少し特徴的な星座がある。f:id:shui_watanabe:20180220235245j:image

 写真のど真ん中にある、6つの星が円の弧を描くように並んでいるのが“かんむり座”である。何を血迷ったか今回の観測は写真を撮るときに風景よりも星座を意識しすぎてしまった。どちらかといえばノスタルジックな風景がの方が好きなのだが、例のベンチの写真しかない…😂😂  このかんむり座の左にはヘルクレス座、左下にはへび座へびつかい座、写真には写っていないが少し離れたところには夏の大三角がある。かんむり座自体は春と夏の中間あたりかな? 実際今は冬だけど笑笑

    ちなみにかんむり座とよく似た形で“みなみのかんむり座”という星座がある。位置は射手座の近く。“うお座”があれば“みなみのうお座”もある。“さんかく座”もあれば“みなみのさんかく座”もある。

    写真を漁って見た感じだとはっきり星座を写し撮れているのはこれで以上。その他は全て夏の星座なので紹介するのはまた次回ということで。

 

5. 夜が明けて

 

    まるで夢が覚めるかのように、空で輝く星々がだんだんと薄くなり空が明るくなってきた。千葉の最南端なので東京と比べれば日の出は早い。得体の知れない石像がはっきりと見えるようになったけど相変わらず意味が分からん。空腹に耐えながら、かつこれから広がるであろう青空を見ることなく車をまた走らせた。今度はゆっくりできるといいな。ただ関東にこんな世界があったなんてびっくりした。まだまだ知らない景色が沢山あるみたい。自分は今まで色んな世界を見てきた。ピアノ、ソフトテニス、武道、そしてダイビング…それぞれの世界にはその道を極めた人にしか見ることが出来ない景色が広がっている。天体観測を極めた先にはどんな風景が広がっているのだろう。それを追い求めてまた旅をする。バックミラーに映る寝顔を見ながらそんなことを考えていた。

 

6. 終わりに

    気づけば4,000字を超えるブログになってしまった…最後まで読んでくれる人いるのかコレ笑 相変わらず最近は忙しいけど、息抜きがてら観測に出かけようとは思う。ブログもちょくちょく更新していくのでよろしければ読んでみてください🙇‍♀️ またまたありがとうございました😊