まだ誰も知らない、山小屋についての話

早稲田大学天文同好会WAXA55期。現WAXA山小屋管理人。山小屋から考える「どう生きるか」を自分なりに発信できればいいなと思っています。

三日月が沈むとそこには…

1. はじめに

 

   5月になり、気温の上がる日も増えてきた。皐月晴れは爽快だが、日本の夏は暑い。早苗を植えるから皐月。あっちも確かこの時期からレタスを育て始めるんだよな。今回紹介するのは、5月の晴れ空に輝く星空。それと就活とゼミの狭間に出かけた観測の記録。

 

   2. 観測場所

 

   今回の観測場所は長野県の野辺山。ここに来たのはこれで通算8回目になる。宜しければ「オリオンが輝く厳冬の野辺山」もご覧ください。

   東京からは二本の高速道路を乗り継ぐ。首都高速中央自動車道。休憩合わせてだいたい3時間かな。ライトをつけ忘れそうになるほど明るい都内から(”ガチで違反”なのでちゃんとつけましょう)渋滞気味の首都高に入る。途中の談合坂SAではしっかり休憩。その後、雰囲気は一変。車の気配がほとんどない中央道。この道で山梨県を一気に北上する。先に見える星々は空ではなく、地上に広がる。甲府盆地を横断するタイミングで綺麗な夜景が見えるのだ。40万くらいかな?都内のようにチカチカする明かりは無い。

   長い長い高速を降りると宇宙はもうすぐそこ。途中の八ヶ岳大橋を渡るとひたすら山登り。人よりもシカに出くわす頻度の方が高い道。こんなところでどうやって暮らすんだろうな…ってか、もともとそういう動物やん(小並感)。そんな感じで40分(?)ほど車を走らせると今回の観測場所に到着。最寄りのコンビニは運輸トラックの聖地。そこで必要な水や食料を買い、夜を明かす。5月末でも手がかじかむほどの寒さ。星空を眺めながらカップ麺をすする。うん、まさに青春。

 

3. 実際に見えた星空

 

   結論から言ってしまえば、今回も満天の星空を見ることができた!実に3ヶ月ぶりの星空。空が澄んでいるからこそ、より一層星は輝く。星座も映える。なんて心地の良い寒さなんだろう。天候があまり安定しないこの時期。これだけ見えるのは単に運が良かったのか、この地がすごいのか…

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 撮影したのは確か深夜1時か2時か。見事に天の川の写真も撮ることができた!天文サークルに入っていたものの肉眼で天の川を見ることができたのは2,3回しかない。いずれもこの地なんだけどね(笑) 真夏だと深夜には沈んでしまっているので、案外この時期のほうがいいのかもしれない。どうしても七夕ってイメージがあるけど…笑

 前回の千葉県の野島崎灯台の観測から3か月が経つ。新しい広角レンズやシャッターのリモコンを用意してきた。星空にも恵まれ、何もかもが順調だった。ただ一つ課題としては星が若干ぶれてしまったところ…

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 光量の小さい星を撮る際、普通に景色を撮る方法では間違いなく星は写らない。明るさがあまりに足りないのだ。そこで少しでも光を取り込むには…

 ①露光時間を長くする 

 ②ISO,つまり感度の値を高くする 

の二つの方法がある。具体的な数値は①も②も場所と状況によるとしか言えないのだが、どちらを上げてもしっかりと星は写る。ただ②だと程度によってはノイズが目立ってしまうのが難点。なんかザーザーする感じになる(語彙力)。そこで②は出来るだけ抑えて、①の露光時間を長くする。これならノイズはおさまるのだが、今度は星がブレてしまう。無論、星は動いているからだ。(いや、正確にいうと地球が動いているからなのだがそこは置いといて)全ての恒星は北極星を中心に回っているように見えるので、そのまま撮影すると星が少し尾を引いた形になる。北極星から遠ければ遠いほどブレが大きい。

 今回の露光時間は70秒を目安に撮影していた。星のブレが課題となったのはそれが原因。そのブレを軽減するためにポラリエのような赤道儀とかいう機材がある。星を自動で追尾してくれるのだ。それは次回の観測までに用意出来たらしておこうか。

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   レンタカーと一緒にパシャリ。車が黒いので背景と同化しているが、天の川とのコラボもいい感じ♪ 星座をピンポイントで写すよりかは、こういう風景メインの写真の方が好きだなあ。個人的には。

   あ、ところで、上の電柱との写真(2枚目)だけど、かなり良い位置に”かんむり座“が写りこんでるね。“かんむり座”がどんな形かは「灯台が紡ぐ春の兆し〜野島崎灯台〜」を参照してください。

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   かなり薄いけど、北極星付近。北斗七星もカシオペヤも一つのフレームに写せました。ちょうどカシオペヤが天の川にかかるポジションにいるんだね。今回はソフトフィルター無し。使ってる後輩もいたけど、写真が本当に素晴らしかった!

   まあ、星の写真はこんな感じにして。結局寝たのは夜3時半くらい? 寝酒なしの健康的な観測。ドライバーだからね、一応。星空が見えれば言うことなしだが、夜明けの綺麗な青空も天体観望の醍醐味。

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   プラネタリウムとは違う、この不確実性が天体観測の良いところでもあるんですよ。お金がかからない分、行動力と小さじ一杯分の運が必要だけど、得られる感動は本物。

 

4. 終わりに

   

   言い忘れていたが、今回の観測は流星にも恵まれました!流星群が到来していたのだろうか? 全く聞いていなかった…去年の12月は”ふたご座流星群“が来ている時で流れ星目当てで行ったが、それほど見ることはできず。こちらから求めると逆に出会えないものなのかね…()

   帰りは温泉などには寄らずに直で帰宅。珍しく渋滞にはあまり呑まれず、都市部を走っている時も快適だった。車を降りてみると東京も暑い。空も晴れている。昨日見た月や星空がなんだか夢のよう。首都高で見た、金色の鎌のように輝いていた三日月が色濃く残っている。最後までいい味を出してくれてたなあ。沈んだ後も…

   さて、次はどこへ行こうか。

 

※感想や何か間違ってる部分があればコメントで気軽に教えてください🙇‍♀️🙇‍♀️ お読みいただきありがとうございました。